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稲村ケ岳
(大峰大橋から白倉山・狼尾経由で)
山行日 2006年4月9日
地域 大峰
標高 1725.9m
天候 晴れ
コースタイム 大峰大橋8:30---白倉山10:37---稲村小屋11:35---12:15稲村ケ岳12:20
ーーー稲村小屋12:45---法力峠13:35---母公堂14:20---大峰大橋14:30

地図
 大好きな山なので過去、数え切れないほど通っている稲村ガ岳。法力峠やレンゲ辻からの普通のルートでは飽き足らず、過去にはクロモジ尾や岩本谷やモジキ谷からも登ったが、今日また新しいバリエーションルートで登ってきた。

 今朝もキャサリンが「アンタ!今日は山へ行くって言うてたやんか?もう7時やでぇ」と私を起こす。そうなんです。我が家ではなぜかキャサリンをはじめ家族全員が、日曜日になると私を山に行くように急き立てるのである。これはきっと何か美味しいものを、私を除く皆でいつも日曜日に食べるつもりなのでは?と考えずにいられない。

 仕方なく、もし9時過ぎに家を出ても昼に頂上に着く金剛山にしようかとも思ったが、先日国土地理院の閲覧サービスからプリントアウトしておき、いつかこのルートで登ろうと思っていたバリエーションルートで、稲村に登る気持ちがイナムラと湧き上がり(笑)、車を南に走らせた。

 稲村ケ岳登山口である母公堂前の前は路肩にもかかわらず、なぜか駐車料金は有料(大峰大橋の売店も有料)なので五番関へ行く橋を越えた箇所に「五番なさい」とつぶやいて駐車した(笑)。

 まずは参拝道を左に見てレンゲ辻への道を進む。手には1/25000の地図を持ち、右(南)方向の稲村ケ岳へと登る地点を決して見落とさない覚悟だ。それにしても林道の右は急な斜面で、取り付く箇所は一向に見当たらない。20分ほど歩いたところで小さな橋が架かる沢があり、地図を見てここから登ると決めた。

涸れた沢 行く手に巨岩が立ちはだかる

 最初、沢の左岸に道があると思えたがそれは錯覚だったようだ。右上から土砂崩れ跡があるところで仕方なく沢に下りた。(沢らぬ神に祟り無し「笑」と言うように出来るだけ沢を避けたい私だが、ここは仕方ない)。その沢が二股になったところで右の沢を選択し、進んだ途端に狸らしきものが赤い内臓を出して死んでいるのを発見。思わず目をそらして小走りになる私だ。

 このルートは赤テープなどもちろん無い。小さな滝が現れたが目の前にして右を巻くか左を巻くか考える。ただこの滝を越えるだけでなく、その先の状況も予測しなければならない。そんなささやかな思考が、まるで推理小説やパズルの謎解きのように感じられ、それがまた私には心地良い瞬間でもある。

大峰山西の覗き 目の前に大日山。ここを下りれば小屋だ

滝の右上には長く続く垂直の岩。左のほうが比較的安全だと思うものの、ルート的には遠くなる。数分の推考の末、少しバックして右の小さな尾根をよじ登って白倉山に出ることを決意した。ところがこの尾根が怖かった。雪渓を越えて尾根に取り付けば、これがメッチャ急登だ。朽ちたのは危ないので、生きた木の幹はもちろん、土に埋もれた木の根っこをほじくりかえし、それをつかんで三点確保で体を引き上げる。

 杉の樹林帯を抜けると後方に、山上ケ岳の西の覗きや日本岩の豪快な岩場が見える。すると突然目の前にクラが現れた。疲労でどうやってその先に出ようかと考えるのも面倒で、とりあえず足元の雪が氷と化しているものの、安全な窪地で小休止を取った。困ったのは花粉症によるくしゃみだ。重症の私はここにきてくしゃみが止まらなくなり、なんと「ハックション」の10連発だ。

 単独では少々危険かも知れないと撤退も考えたが、ここから戻るのはもっと危険だ。安全確実なホールドしか使わないことを心に決めて、一歩一歩慎重に進む。同様に体力の温存も考えなければならず、出来るだけ疲労しないように省エネで急登をこなす(これがホンマの「エコ急登(給湯)」BY大阪ガス)。

怖い大日山の北斜面 大日のキレット

左には洞辻茶屋やダラスケ茶屋がはっきりと見て取れ、その奥駈道の奥には大所山が見える。大天井ケ岳も岩屋峰へと続く迫力ある長い稜線を見せている。目指す尾根に出たので左へ進む。白倉山の小ピークではしっかりと進路を確認して南西へと取り、見えるかもしれないと、直ぐ下にあるはずの法力峠から稲村小屋へと行く道を見下ろして探す私だ。観音峰はここからでも確認できる。

ブナの巨木の向こうに山上ケ岳の日本岩が近づいてきた。しかし行く手は石楠花がジャングルとなってなかなか前へ進めない。1600m強の2つある手前のピークは越えたものの、次のピークは石楠花が邪魔をするので左を巻いた。さてここからは尾根に沿って進めばルートを間違うので、特徴のある大日山を目指して右へと降りて行く。ここも石楠花の枝を乗り越えねばならなかったが、まもなく単独の登山者が食事中の稲村小屋前にドンピシャで降り立った。

稲村ケ岳山頂から弥山を見た 同じく山上ケ岳

 その食事中の単独者は、大日山の北斜面が怖くて引き返してきたそうだ。後から出てきた小屋番は私に向かって「キレットの手前は凍っていて危ないよ」と言う。二人に「アカンかったら直ぐに引き返してきます」と言ってそのまま出発した。ちょうどその危険箇所までくると、東京から来て昨日は大普賢岳で敗退したという、別の単独者が降りてきた。なんと大日山北斜面は怖くて、その大日山に直登したそうな。下山は斜面をなんとか通過したそうだが、大日山直登の方が怖かったと言っていたのが印象的だった。

 凍っていなくて足跡もあったので難なく危険箇所は通過。キレットから冬道を登ればあっというまに稲村ケ岳山頂に到着だ。黄砂が飛んでいるというものの、何とか弥山までは見えて幸いだ。直ぐに引き返したが、2人の単独者はもちろん小屋番も下山したのか小屋付近にはだれもいない。

下りは法力峠へと進む。右の尾根を見ながら「あそこを歩いてきた。あそこに出たんや」と思い出しながら進めばやがてその法力峠。その峠を過ぎた13:40。こんな時間なのに、今度は単独の若い女性が登ってくるではないか?「遅いですね」「はい」の会話しか交わさなかったが、テント装備でないのが気になった。


 
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